砂浜を飛び跳ねて

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先生は驚きながらも、ランチにちょうどいい休憩スペースを教えてくれた。時刻は午後1時、そろそろお昼ご飯を食べておきたい所だ。 「先生、ありがとー! あたし達先に進むけど、隠れてお酒飲んじゃダメだよ?」 「飲まねーよ! オラ、こんな所で止まってないでさっさと行って来い!」 追い出されるようにして第2チェックポイントを後にした私達は、すぐ近くの休憩スペースへと向かった。 ボコボコ建っているというベンチや東屋は、波打ち際から遠く離れた砂浜と歩道の境目のような位置に、約100mに渉って続いていた。砂浜の方からベンチの方向を見回すと、まだまだランチタイムという事もあり、一帯は大勢の生徒で溢れかえっていた。 「困ったな、空いてる所が無いね……」 森田さんが歩きながら両手を出してお手上げのポーズを示す通り、どのスペースにも誰かしら腰掛けていて、私達5人組が使えそうな場所がなかなか見つからない。 50m歩いても空きスペースは見つからず、そろそろ一番先頭のベンチも近くなってくる。もし座る場所が無かったら、もう少し歩いてどこか座れそうな木陰を探すしかないのかなあ。 「あっ、詩乃ちゃん!」 右方向から誰かに呼ばれた気がしたので振り向くと、2年生女子のグループが東屋で休んでいた。 「あっ、(はるか)さん」 私を呼んだのはその中の1人で、お向かいの家に住む遥お姉さんだった。
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