砂浜を飛び跳ねて

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彼女とは小学校の頃からの付き合いで、お向かいさんという事もあって何度もお互いの家を行き来しているし、家族同士で遊びに行った事もある。本当の姉妹みたいに仲良しな関係、と私の方は勝手に思っている。 「この子、遥の知り合い?」 「うん、お向かいの家の詩乃ちゃん。早川君の妹だよ」 「え、この子が早川の妹? 全然雰囲気違うじゃん!」 「あ、こんにちは。1年の早川詩乃です」 今は学校行事の最中で初対面の上級生もいるから、家の前みたいにフランクな態度は取れないけれどね。 「遥姉さんおひさー!!」 「わあっ! 千佳ちゃんは相変わらず元気過ぎてワンちゃんみたいだね……」 そんな事はお構いなしに、がっぷり四つの体勢で抱きつきにいく千佳ちゃんが羨ましかった。遥お姉さんは誰に対しても優しいから、みんなから好かれているの。 「詩乃ちゃん、もうお昼ごはん食べた?」 「いえ、今から食べようと思ってるんですけど、座る場所が無くて……」 「何となくそんな感じしてたよ。私達もう食べ終わったから、ここ使っていいよ」 「いいんですか!? ありがとうございます!」 彼女は私達の様子を遠くから眺めて、座る場所を探している事を察してくれていた。さっき声を掛けてくれたのは、きっと席を譲る為だったんだ。ありがたい、昔から誰かの悩みや困り事を真っ先に気付いて助けてくれる彼女だが、高校生になって洞察力に磨きがかかったようだ。
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