砂浜を飛び跳ねて

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「遥姉さんマジ天使! あれがタッキーのお姉ちゃんとは思えないよねー!」 「えっ! そうなの!?」 「それは予想してなかったわね……」 千佳ちゃんが告げた事実は、一部メンバーには突風となって吹き荒れた。何を隠そう(隠してはいなかったけれど)、遥お姉さんこと瀧本遥さんは瀧本君の1歳上のお姉さんだ。実の姉弟でも、いつも落ち着いた遥お姉さんと万事その場の勢いで突き進みがちな瀧本君とでは全くタイプが違うから、初めてその事を知った人は大体ビックリする。まあ、お兄ちゃんと私も人の事は言えないけれどね。 そんなこんなで、私達はやっと東屋のベンチに腰掛けてランチにありつく事が出来た。 東屋は黒塗りの大きな屋根が眩しい日差しをさえぎり、高床で四方を壁に囲まれているので砂の侵入を防いで快適に過ごせる構造になっていた。これで下を穏やかに水が流れていれば南国のリゾートみたいだと、遠くの海を眺めながらふと思った。 「今日のお弁当は何かな。詩乃ちゃんトコはまたニョッキ弁当でしょ?」 千佳ちゃんは自分のお弁当包みを開けながら、我が家のお弁当の中身を当てようとした。残念ながら、それは不正解だ。 「それは全力で止めたよ」 「何故止める」 この所、我が家の献立は❝ニョキニョキ火水ニョッ金金(キンキン)❞状態だったので、「浜歩き大会の日だけは勘弁して!」とお母さんに泣きついて、メニューを変えてもらったのだった。ニョッキが大好きなレイネは不満げだったけれど、たまには別の物を食べたいよ。
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