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「今日はおにぎりだよ」
早速包みを開けると、木のツルで編まれた長方形のお弁当箱が現れた。角の取れた小さなつづらのようなお弁当箱のふたを持ち上げると、海苔を巻いたおにぎりが2つと竹の皮の上にから揚げとたくあんが入っていた。
「早川さんの、かわいいお弁当箱だね!」
「ありがとう。でも、実はこれレイネのなんだよね」
このお弁当箱はレイネの持ってきた荷物の中に入っていた物で、彼女によれば『飯行李』という道具らしい。森田さんはレイネの私物とは思っていなかったので、それを聞いてかなり驚いていた。
今までうちでは使っていなかったが、長く走っていた割には中身が揺られて変形する事も無く、おにぎりはきれいな正三角形をキープしたままと、なかなか便利なアイテムだと思った。
「いただきます」の挨拶をした後、みんな言葉少なにそれぞれのお弁当に手をつけた。空腹は最高のスパイスと言うが、ごはんやおかずをかみしめるみんなの表情は喜びに満ちていた。
私はあっという間にお弁当を平らげ、次はサービスエリアで買っておいたロングをバッグから取り出してかじりついた。
「早川さん、お弁当食べた後ロングも食べるの? 沢山食べるね」
「お腹が空いたらこの後走れないからね」
スタミナが切れない様腹ごしらえをしておかないとね。そうじゃなくても最近とてもお腹が空く、まだまだ成長期だからかな。
「まるで私に当て付けている様な言い方だな」
「そうは言ってないってば」
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