ラストスパートの景色は

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辺りはいかにも田植え直後といった風景で、水の張られた田んぼには背丈の低い若葉色の苗がきれいに整列している。 「こんな海の近くに田んぼあるって珍しくない?」 「あー、そうかも」 これだけ海が近いと潮風で稲がダメになってしまうのではないかと、千佳ちゃんが首を傾げた。ウチの近くにも海抜の低い所に田んぼがあるが、ここまで海沿いでは無かった気がする。 「海側に並木が植えてあるから、それで防いでるのかな?」 「土地も浜辺からしたら少し高いし日当たりもいいから、意外と適しているのかもしれないわね」 森田さんや浮月さんも加わり、珍しく社会科談議で盛り上がる私達。レイネだけはじっと日差しが反射する眩しい水面を眺めていたが、 「もう数日もすれば、この地にも同胞が(いかずち)を落としに来るであろう」 「えっ!?」 急に私の耳元で、マンガに出てくる破壊を好む悪役みたいに恐ろしい言葉をささやいた。 この間の嵐のような光景が、この穏やかな田んぼの上でも繰り広げられてしまうと思うと、他人事とは思えず心配でそわそわしてしまう。 「何でそんなひどい事をするの……?」 「酷くは無い。❝稲光(いなびかり)❞と言ってな、水田に雷を落とす事により、稲の生育を促し豊作に導くのだ」 「そうなの!?」
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