ラストスパートの景色は

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「あたしだってホントに祈ってるよ。甲子園出た時の為にウグイス嬢の原稿だって用意してるし。『えー、球場にお越しの皆様、瀧本選手には美人のお姉様がいらっしゃいまして、家では❝タクちゃん❞と呼ばれ、大変可愛がられているそうでございます』」 「そんなもん作んな! しかも呼ばれてねーし!」 レイネに負けじと千佳ちゃんの瀧本選手イジリが続く。野球のルールもよくわかっていないのに、プレーに関係ない知識だけは知っているから困ったものだ。 こうして千佳ちゃんとのバトルにすっかり気を取られていた瀧本君は、自分に次なる魔の手が忍び寄っている事に気付かなかった。 「瀧本、今度こそくらえーー!!」 突然、さっきとは別の男子が前方からウォーターガンを彼に向けて放った。今度の銃はライフル型で射程距離が長く遠くから狙い撃てる為、相手に気付かれずに狙撃が可能なモデルだった。 「おっと……!」 だが、反射神経の良い瀧本君はとっさに身体をよじってビームを紙一重でかわし、 「くっ……!」 そのせいで、真後ろにいたレイネが流れ(だま)に当たってしまった。 「わっ、レイネ大丈夫!?」 彼女は前かがみの姿勢で、水がかかったおなかの辺りを両手で押さえていた。刑事ごっこで使うようなピストル型と違ってウォーターガンの水圧はかなり強く、結構痛かったのかもしれない。
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