67人が本棚に入れています
本棚に追加
どこまでも図々しい千佳ちゃんは、めげる事なく4人目のレイネにオファーを出した。
「構わないが」
「えっ?」
そしてそのワガママは実り、レイネがOKを出してしまった。
「やったー! ふふふーん♪ ふふふふ――ん♪……」
良いラクダ役を見つけた千佳ちゃんは、機嫌よくお決まりの童謡のメロディーを口ずさんだ。あんまり甘やかしちゃダメなのに……。
「但し、捕まえて飛び乗る事が出来たらの話だが。さあ、行くぞ!」
でも、レイネはそう簡単には乗せようとせず、千佳ちゃんを置き去りにして野生のラクダ(の生態はよく知らないけれど)のように駆け出した。
「あーん、意地悪―!」
千佳ちゃんが泣きそうな声を出して追いかけても、レイネの足が止まる気配は無く、まだまだ先の長いフォルス・ストレートを快走する。彼女はやっぱりスパルタ教育らしい。
「もう、みんな走るって言ってないのに……。タッキー、また海の家でね!」
「ああ、気をつけてな……」
「振り回されるわね……」
「わわ、待って! 水筒だけしまわせて!」
「お前ら忙しいな。まっ、頑張れよ」
瀧本君達に見送られながら、私達3人も覚悟を決めて2人の後を追いかける事になった。
最初のコメントを投稿しよう!