横一線のゴール

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横一線のゴール

「えー!? ゴールってここじゃないの!?」 「ハアハア……、もう歩けねーよ……」 休業中の海の家前では、ゴールだと思って駆け寄った1年男子達が、砂に膝をついて絶望に暮れている。 「はっはっは、若いんだからシャキッとしろ! あと少しじゃないか、頑張れ頑張れ!」 ちょうどそこにいた体育の先生が、彼らの肩を叩いて励ましていた。 これが毎年恒例、フォルス・ストレート終点の光景なのだろう。チェックポイントでも無いこの場所に先生が立っているのも、生徒への誘導と激励という大事なポジションだと想像がつく。 「海の家の事、聞いておいて良かったね」 「ああ、❝人間万事塞翁が馬❞とは斯くの如し」 「運が強いわね」 私の少し前を走るレイネが森田さんや浮月さんと話しているように、スナイパーの前田君からフォルス・ストレートの事を聞いていたおかげで、余力を残してスパートする事が出来た。水を引っかけられたのは不幸だったけれど、彼らと話していなかったら得られなかった情報だ。世の中、何がプラスになるかわからない。 「もうやだぁ……、負けたくないけど走りたくない……」 「さあさあ、もうちょっとだよ」 一方、彼らと話すきっかけを作ってくれた千佳ちゃんは既にスタミナ切れで、今にも止まりそうなスピードで私の後ろを進んでいた。
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