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「次は君だ。君は荷物が多いから彼女から30秒後に出てくれ」
「ありがとう、助かるよ」
「あたし走るって言ってない!」
抵抗を続ける千佳ちゃんを黙殺しながら、森田さんが2番目にスタートする事が決まった。
「後は我々3人が一斉に駆け出すとして……」
「待って、浮月さんもサンダルだから先に行った方がいいんじゃない?」
「うむ、それもそうか。ならば君と同時にスタートとしよう、それで異存は無いだろうか」
「特に」
「あの、千佳ちゃんは……」
一度物事を進めると人の話を聞こうとしないレイネの性格がうつったのか、森田さんや浮月さんまでハンデキャップ作成委員会に加わってしまった。
「もういいよ……。みんな大嫌い! みんななんかぶっちぎって置いてけぼりにするから、バイバイ!!」
「千佳ちゃん、そんなにカッカしないで……」
「キレてねーし!」
レイネの説得を諦めた千佳ちゃんは、暴れ牛のように足を後ろに蹴り上げて怒りをあらわにした。キレてないと言いつつも、蹴り上げた砂を私のスニーカー目がけて飛ばしてきて、明らかに怒っている。長年の経験からして、これは絶対に尾を引くパターンだ。せっかくここまで仲良くきていたのに……。
何とかして彼女をなだめようとして、秘策を練りながら彼女の周りでまごついていると、浮月さんが近づいてきて、
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