横一線のゴール

9/17
前へ
/356ページ
次へ
「いつの間にレースになったのかしら。……だったら、1着には❝ご褒美❞をあげるべきよね?」 「ん?」 ゴールに一番乗りした人へのご褒美を提案した。 「望月さん、1着のご褒美は何がいい? 何でも構わないわよ?」 「うーん、そうだなあ……」 浮月さんに聞かれた千佳ちゃんは、一休さんのように両手で頭をぐりぐりと刺激しながらご褒美を考え、 「じゃあ、海の家着いたら山盛りのかき氷ね! レイネちゃんは膝枕とうちわで扇ぐ係で、浮月さんはかき氷をスプーンですくって私に食べさせる係。森田さんはカメラ係で、詩乃ちゃんはダンスを踊って私を楽しませる係ね!」 「ええーー!?」 「何と」 そして、海の女王のように傲慢で欲張りなご褒美をねだった。 「わかったわ、それでいいわよ」 「良くな……」 「やったーー!!」 浮月さんらしからぬ独断により、非道徳的なご褒美が承認されてしまった。数が多すぎるし、私への内容が一番イヤなのに……。 「そうと決まれば、やる気MAX!! みんな、カウントダウンプリーズ!」 でも、これのおかげで千佳ちゃんはやる気と機嫌を取り戻し、クラウチングの構えでスタートラインにつきカウントダウンのコールを要求した。
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加