横一線のゴール

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目の前にぶら下がったニンジンの如く、2人の後ろ姿は私達の原動力となり、残り300m地点でついに追いついた。 「あら、速いのね」 「うわぁ、早川さん達もう来たの!?」 2人は思っていたよりも早く私達に追いつかれた事に驚いていた。2人ともまだまだ全力で走っていないような気もするけれど、こんなに早く追いつくなら、もっとハンデを付けた方が良かっただろうか。 「浮月さん、サンダルだと足痛くない?」 「平気よ」 「早川さんはご褒美何にするの? ロング3本?」 「タッキーじゃなんだから……。喉乾いてるから今はいらないよ」 「海の水では喉が潤せぬしな」 4人並んで激しいデッドヒートを繰り広げると思いきや、歩調を合わせながらおしゃべりを楽しんだ。最初から、千佳ちゃん以外は本気でご褒美を貰おうと思っていなかったので、順位をそれほど重要視していなかったからね。 「あれ、千佳ちゃんは?」 「あそこだな」 その千佳ちゃんを、レイネが私達より100m先で発見した。 「わわ、あんな遠くに! このままだと望月さんが1着になっちゃうよ?」 「うーん、千佳ちゃんにしては頑張っている……」 ここに来て大番狂わせが起きそうだ。普段ならもうカタツムリみたいなスピードでのたのた歩いているはずの千佳ちゃんが、未だに走っている。しかも、さっき私達より先にスタートした男子の1人と並んで同じスピードで。
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