横一線のゴール

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ゴールまであと200m、まずは千佳ちゃんに追いつこう。 私達4人は一斉にラストスパートをかけた。みんな同じくらいスタミナが残ってそうで、レイネが更にスピードを上げて前に出ると、競うようにして千佳ちゃんの元へ急いだ。 まるで彼女が逆噴射しているかの如く距離がぐんぐん縮まり、あと20mまで近づいた時、彼女は死にかけのゾンビのような前傾姿勢でふらふらと浜辺をさまよっていた。そして、 ズシャッ――――!! とうとうバランスを崩して前のめりに転んでしまった。 「千佳ちゃん、大丈夫!?」 私はレイネを追い抜いて、うつぶせになったままの千佳ちゃんに駆け寄った。砂浜なので痛くは無いだろうけれど、心は折れていないだろうか。 「あっ、詩乃ちゃん……。うわーん! やだぁ、置いてかないで……!」 「ど、どうしたの!? 置いてかないって!」 彼女は私の顔を見るなり、涙目で鼻をすすりながら抱き着いてきた。何が彼女にそこまでストレスをかけていたのか、この時はよくわからなかった。 「お千佳坊、よく頑張ったな」 「望月さん、お待たせ」 「顔拭いた方がいいわよ」 みんなも続々と駆け付け、頭を撫でたり顔や身体に付いた砂を払うと、千佳ちゃんは次第に落ち着きを取り戻した。
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