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「千佳ちゃん、あと少しだけど辛かったらおんぶするよ」
知らず知らずのうちに彼女に無理をさせてしまったから、その罪滅ぼしをしよう。あと100mくらいなら、なんとかおぶって歩けない事も無いかな。ダメだったら残り半分はレイネに……。
「やだ! 走ってゴールする!」
「うん、わかったよ」
最後の最後で、彼女なりに意地を見せたいようだ。
気を取り直した私達は、残り100mをジョギングみたいなスピードで進む。千佳ちゃんに合わせたスピードだったが、彼女はだんだん歩くのと変わらないスピードに落ちてしまう。
「ほらほら、あと少しだ、頑張れ頑張れ!」
「はーい、早くゴールして海の家でゆっくりするんだよー!」
ゴール前にいる先生方や地元の人達がエールをくれた。私達だけに対してでは無いが、何だか嬉しかった。
残り50m、前を行く生徒達が続々とアーチをくぐり抜けていて、中にはガッツポーズでゴールしている人もいる。私達はどんな風にゴールしようか。
その時、レイネが千佳ちゃんの肩に腕をまわし、
「共に行こう」
「うん、行く!」
彼女の身体を支えて一緒にゴールしようと励ました。長い間走らせてしまった事に対するレイネなりのフォローだったのかもしれない。
「みんなも一緒に行こ! 手をつないで同時にゴールしよ! hurry!hurry!」
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