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「わぁ、思ってたより広ーい」
屋根の下は想像以上に奥行きがあり、2クラスの生徒と先生が全員入ってもまだまだ余裕がありそう。いっしょにここを利用する1年B組もスタートが遅れた為に、まだ誰も到着しておらず、海の家は開店休業のようにスカスカだ。当分は、窓の無い入口から出入りする豊富な風をもてあましそうな貸し切り状態を味わえそうだ。
まずは、何か冷たい物でも食べたいな。
冷凍のショーケースからアイスを取り出すか、カウンターでかき氷を作ってもらおうか、木桶に浸かっている棒付きの冷やしキュウリも捨てがたい。
「あたし、かき氷の果肉たっぷりイチゴ!」
「私はブルウハワウィを」
みんながかき氷をオーダーしたのにつられて、私もかき氷を一つもらい、他にも何かたのもうか再びシンキングタイムに入る。うーん、冷やし中華にフランクフルトも美味しそうだなあ。
「今なら2階が空いてるから行ってごらん。見晴らし抜群だよ!」
「えっ、2階も使えるんですか?」
おかみさんが2階の利用をすすめてくれた。この海の家は屋根の奥に木造の階段があり、そこにもお座敷があるそうだ。
「もちろん! みんなのかき氷が出来たら上に届けてあげるからさ」
「ありがとうございます!」
「じいちゃんちみたい。きゃー、久しぶりー!」
何と言うサービスの良さだろう。おかみさんのご厚意に甘えて2階席で食べ物の到着を待たせてもらう事にした。千佳ちゃんなんて本当のおじいちゃんがいるみたいにはしゃぎながら、やや急な階段を勢いよく駆け上がって行ったし、嬉しくてテンションが上がってしまう。
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