海の家でのひと時

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2階に上がると、広い畳のお座敷が廊下を挟んで左右に1面ずつあり、先に上がっていた2人が左側のお座敷の真ん中で、座卓にほおづえをついて私達を待ち構えていた。 「かき氷キタ――(゚∀゚)――!!」 「早川さん達、ありがとう!」 そんなに大感激されると、運んできた甲斐があるというもの。浮月さんと2人で手際よく配膳係を務め、それぞれが注文した食べ物を並べ終えると、 「では、いただきまーす」 みんなで同時に手を合わせ、お待ちかねの食事タイムがスタートした。 「あー、疲れた。今年1年分は走ったよね」 「千佳ちゃんはもっと運動した方がいいよ」 「でも、望月さん今日頑張ってたね」 かき氷5人前に、冷やしキュウリやフランクフルトに焼きそばと、にぎやかに彩られた座卓を囲みながら、食事とおしゃべりに花を咲かせる。 それにしても広いお座敷だ。座卓は5人で使ってもあと3人分は席が確保出来そうな長方形で、これがお座敷両面に計4つ並んでいる。部屋の数ヶ所にふすまをはめる鴨居(かもい)敷居(しきい)がある所を見ると、大人数を入れる為にふすまを取っ払い、一間(ひとま)にしているようだ。こんな広い場所が私達だけの貸し切り状態だなんて、走り詰めの行程も悪い事ばかりじゃ無いと思った。 「美味し―! このイチゴサイコー!」 「千佳ちゃん、声が大きいって!」
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