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「汗臭い人はこっち側立ち入り禁止!」
「走って来たからしょうがねえだろ。お前だって汗臭いくせに、どぶ千佳!」
「誰がどぶだって!? この――!!」
「ふ、2人ともストップ! ストップ!」
千佳ちゃんの心無い一言から、みにくいケンカがスタートしようとしていた。このままだと瀧本君の食べ物がこぼれてしまうので、片手でお盆を支えつつもう一方の手で千佳ちゃんを止めに入った。
「ここは自分ちじゃないんだから暴れないで! 千佳ちゃんの言い方が完全にアウトだったけど、タッキーも❝どぶ❞なんていっちゃダメだよ」
「ふーんだ!」
「はいはい、わかったよ……」
こうして、両者ふてくされながらも、小学生レベルのケンカは無事に収まった。火が点くのが速ければ、鎮火するのも速いのが彼らのケンカの特徴なのだけれど、巻き込まれる方は面倒なのでもうちょっと大人になって欲しい。
「早川、こいつらの扱い上手いなぁ……」
「そうかな?」
「うむ、大儀」
「はいはい、どういたしまして」
有働君がやけに感心していたが、幼なじみで2人のケンカに慣れてるだけだし、レイネの大げさな反応も、かえって恥ずかしくなるばかりだった。
「せっかく同じクラスのメンバーで先着したんだから、仲良く過ごそうよ」
「騒ぐとホコリが舞うわよ?」
「はーい……」
「すまん」
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