岩場からのSOS

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ドタドタドタドタ――――――!! 話が盛り上がっている所に、階段の板を踏み抜かんばかりの騒々しい音を立てて誰かが上がって来る。田中君達が帰って来たのかな? 「何だよ、A組の奴らが先に来てんじゃん!」 上って来たのは、B組で一番乗りの子達で、床を蹴って悔しがった。このガッカリ仕方だと、下足箱には既に10足入っていたのも見えないくらい、慌てて駆け上がって来たようだ。 「あらあら、随分と遅いお着きです事ー! おーほっほっほ!」 そこに追い打ちをかけるように、千佳ちゃんが悪役令嬢に扮してエレガントに煽った。 「おやおや? ❝(しょう)望月❞殿のお姿が見えませぬぞ?」 「はてはて、お姿は無くとも(かまびす)しいお声だけは耳に届きますのう」 だが、相手はなかなかアドリブがきくタイプのようで、すかさずコンビでカウンターを繰り出した。千佳ちゃんが目の前にいるにもかかわらず、1人は手でおでこにひさしを作ってキョロキョロと辺りを見回し、もう1人は小首を左右にリズミカルに(かし)げて声の出所を探るという、わざとらしい動きで煽り返した。 「うっせ! ここにいるわ、ボケー!」 「痛ぇっ! この野郎、決闘するでおじゃるか!?」 ❝ちっちゃいイジリ❞をされて化けの皮がはがれた千佳ちゃんが、庶民むき出しの乱暴な言葉とともにボディブローを放つと、相手も謎の麻呂に変化して応戦しようとした。
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