67人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
正面の空と海も少し早い夕暮れを迎えたみたいに暗く鈍いトーンを映し出していて、右手に見える岩場もサスペンスドラマで事件が起きる崖のように寂しく見えた。遊びに行った田中君達はまだ帰ってきていない、雨に降られてしまう前に帰って来てくれればいいけれど……。
「あれは……」
空を見つめるレイネの表情が険しくくもった。丘の上の神社まで歩いていた時みたいに、雨が降るタイミングを察知したのだろうか。
ゴロゴロゴロ…………
間もなく、空では不穏な音が転がり、
ピシャッ――――――――!
「えっ!?」
「うわ、光った!」
不意打ちでたかれたフラッシュのような光が目の前に広がると、もう次に来る物に対して覚悟を決めておかない訳にはいかなかった。
ドカーーーーーーーーン!!
「うわぁっ!」
「きゃーー!!」
前もって耳をふさいでいても、おっかない音だった。岩を砕くような爆音を轟かせ、雷がこの砂浜に落ちてきた、それも割と近くに――。
最初のコメントを投稿しよう!