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「あっ、そうなんだ」
それなら安心だ。彼女は勢い任せで私を引っ張った訳では無く、一応気にしてくれていたようだ。何も言わずバリアで守ってくれていたのに、「全く頼りにならない」なんて思ってしまって悪い事したな。
「故に、私から離れたらその限りでは無いのだが」
「やっぱそうなんだ……」
続けて、残酷な事実をさらりと言い放った。これで、田中君達を見つけるまで海の家に戻れない事が確定した。雷は怖いけれど、こうなったら一刻も早く2人と合流出来るよう頑張って探そう。
ここで、海の家を出てからの私達の足取りを振り返ってみる。
レイネの勘に従って捜索を行っている為、行先については完全に彼女任せで、私はそれを信じてついて行っているだけだ。
気になったのは、その進路だ。
田中君達がいるであろう岩場は、海の家から見て右斜めの方向に広がっている。よって、岩場まで最短距離を進むなら、海の家を出たら砂浜を右斜めに突っ切る事になる。
彼女も初めの内はそう進もうとしていたが、時折空を見上げては少しずつ右にもたれるようになり、今では右側に広がる海の家の列に沿う形で走っている。
このまままっすぐ進んだ先には、岩場と砂浜の境目みたいな所が見えるけれど、そこは岩の凹凸も控えめで潜れる程の深さも無い。彼らの姿も無く、一見すると何の手がかりも無い。
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