雷の影を追って

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私達は常に海の家を右手に見ながら進んでいる為、 「早川さーん、何してんのー!?」 「ちょっと訳があってねー!」 「危ないよーー! 中入りなーー!」 「はーい、すぐに戻るよーー!」 その姿は嫌でも他の人達の目に付いてしまう、特にこんな天気では。さっそく、他のクラスの知り合いに見つかった。とりあえず返事はしておいたけれど、きっと変な子達だと思われているだろうな、私なんて傘を2本も小脇に抱えて走っているし。 「レイネ、こっちに進むので合ってるんだよね?」 「うむ、間違い無い」 不安になってきたので彼女に確認すると、何の焦りも感じない答えが返ってきた。それなら一時の恥は我慢しよう。でも、そろそろ傘を1本持ってくれないかなぁ……。 まだまだ海の家の列は途切れない。今度は洋風の海の家が見えてきた。さっき森田さんが羨ましがっていた、あのおしゃれな建物だ。 近づいてみても、外壁やテラスはペンキ剝がれ一つ無く、遠くから眺めていた時には聴こえなかった夏ソングのBGMがかかっていて、おしゃれさは非の打ち所が無い。これは、我がクラスの海の家にとって強力なライバルになりそうだ。 そのテラスでは、これまた流行に敏感そうなメイクとファッションの女の子達が、モデル雑誌の1ページみたいにテーブルを囲みながら楽しそうにくつろいでいた。中でも一番目を引くのは、明るいベージュのロングヘアで、おなかが見える短めのトップスとタイトなジーンズに身を包んだ子――、あれは茉莉子ちゃんだ。
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