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ここは1年H組の休憩所のようだ。
雷は鳴っていても雨は降っていないせいか、むしろ急に気温の下がった今をいい機会と、みんな外で涼んでいるのだろう。
我らが茉莉子ちゃんはパラソルの下で、右手を腰に添えての堂々としたモデル立ちを決めていた。強気な彼女なら雷も怖くないだろうし、もしカミナリ様が現れてもビンタをかまして撃退しそう。
ここで彼女に見つかるとまた面倒な事になるから、気付かれないように早く駆け抜けよう。
ビカッ!!――――――
私達がテラスの前にさしかかったその時、薄暗い空をスクリーンに稲妻が長く深く天地の間をほとばしり、
グァーーーーン!!!!――――――
遅れて、それに見合うだけの爆音が辺りを急襲した。
「キャ――――!」
「ヤバい、早く中に逃げろ!」
テラスにいたみんなは、耳を塞いで身を縮めたり慌てて建物の中に引っ込んだりと、ちょっとしたパニックに陥った。これにはさすがの茉莉子ちゃんもびっくりして、とっさに両手でおなかの辺りを押さえた。
「ふふっ、茉莉子も存外可愛げがあるではないか」
それを見たレイネは、なぜか嬉しそうに口元を緩めた。落雷のドサクサで周りの子達は気付いていなかったみたいだけれど、もしかして茉莉子ちゃんも「雷が鳴ったらおヘソを隠さないといけない」って信じているのかな?
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