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洋風の海の家を通り過ぎると、とうとう建物の列も最後尾を迎えた。
ここから先は人通りが少なく、周りの目を気にする必要は無くなったが、依然として私の目に見える範囲での手がかりも無く、心細さが募る。はたして、2人を連れて無事に戻る事は出来るのだろうか。
やがて、岩場と砂浜の境目に位置する場所が近づいてきた。この辺りでそろそろ何かしらのヒントを見つけたい所だ。
「あそこに服が落ちている」
「服?」
レイネが指差した岩場に赤い布きれが落ちているのが見えた。クシャッとたたまれているせいもあり、私にはそれが服なのかレジャーシートなのか区別がつかなかった。
確かめるべく、近づいてその布きれを拾い上げると、形と模様が明らかになった。
「これは彼の物ではないか?」
「うろ覚えだけど、そんな気がする……」
それは、田中君と海の家ですれ違った時に彼が着ていたアロハシャツだった。すれ違ったのは一瞬だったけれど、真っ赤なキャンバスに南国の鳥が所狭しと描かれた派手なデザインは、かなりのインパクトがあったので覚えていた。
続いて、彼女はしゃがみこんで岩場に目を凝らした。すると、何かを見つけたらしく、岩場を海側に向かって歩き、等間隔で立ち止まりながら地面を確認していた。
私も後について地面をのぞくと、傘の先端で突き刺したようなサイズの丸い穴が等間隔に続いていた。私には自然に出来た岩の凸凹のようにも見えたけれど、
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