小さな社の秘密

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「いたぞ」 「どこ!?」 いつも通り、レイネが先に彼らを発見した。 2人がいたのは、東屋と本殿の間にある屋根付きの手水舎で、私達は斜め一直線に現場へと駆け寄った。 最短距離を斜めに進む私達の足元には敷石が無く、やや不安定な玉砂利の上をギシギシ音を立てながら進む。 「うわっ!」 「詩乃、大丈夫か?」 「うん、何とか……」 危うく転びそうになった。玉砂利が上手く(なら)されておらず、くぼんでいる場所に足を引っかけたからだ。幸い、横にいたレイネが腕をつかんで支えてくれたので、大事には至らなかった。 「あの2人はこうして、あの手水舎へと追い立てられたのであろう」 「そ、それって……?」 彼女が眉一つ動かさずつぶやいた言葉に、ぞっとした。同じようなくぼみは手水舎に向かってあと3か所ほど続いていて、その周りには半月型に砕けた玉砂利もあった。 「これは雷が落ちた跡だ、それも相当執念深い雷のな」 やはりこれは落雷の衝撃で出来た跡だった。彼女の話からすると、彼らは岩場からずっとついて来た雷に追われ、屋内に逃れる事を許されず手水舎に誘導されたという事だ。でも、一体なぜ……?
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