67人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
「これ、大事は無いか!?」
現場では、先にいたレイネが2人の頬を軽く叩いたり、胸に耳を近づけたりして、生命の無事を確認していた。
「どう……?」
「意識は乏しいが、命に別状は無いだろう」
おそるおそるたずねたところ、生命の危機に瀕している状態では無い事がわかり、少しだけ胸が軽くなった。私も2人の容態をチェックしてみたけれど、ちゃんと呼吸も脈もあった。でも、一応救急車で病院に運んだ方がいいのかな。
「しかし2人とも、か……。少々面倒ではあるな」
レイネのため息には同感だ。いつの間にか神社の境内で倒れていた2人の事を119番や先生達にどうやって説明したらいいのか、かなり困った状況だと思う。
ただ、この時の私はまだ気付いていなかった。私達の想いは少しだけすれ違っていた事に。
「詩乃、2人の腹をよく見るのだ」
「おなか?」
幸か不幸か、すれ違いはすぐに解消する事となる。急に彼女に言われて、2人のおなかに何があるのか見てみる事にした。
田中君は上裸で水着一丁、鈴木さんはTシャツをすそ結びでおなか丸出しと、どちらもこの天気にふさわしくない格好だ。
最初は「岩場で擦って出来た生傷かな」とか「ウエスト細いな」なんてのんきに眺めていたけれど、
「ああっ、まさか……!」
彼女の言葉の意味は、そういう事だったのか! それに気付いた時、私は恐ろしさで悲鳴を上げそうになった。
最初のコメントを投稿しよう!