小さな社の秘密

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「無い……、おヘソが無い!!」 2人のおなかには、あるはずの物が無かった。おなかのまんなかはへこんでも出っぱってもいない。そう、2人はおヘソを取られてしまっていたのだった。 いや、見間違いかもしれない! おヘソはもっと下に隠れているのでは、と鈴木さんの履いていたジーンズのフロントボタンを外し、おヘソを探そうとした。でも、ファスナーを少し下げても見つからず、途中でレイネに腕をつかまれて止められた。無言で首を横に振る彼女は、まるで❝カミナリ様がおヘソの位置を間違える事など無い❞とでも言いたげだった。 「レイネ! ど、ど、どうしょう!?」 となると、私に出来る事は慌てる事だけだ。自分が取られた訳じゃないのに、おなかの辺りが落ち着かなくなってしまった。 「そう慌てるでない。おそらく、先刻の大きな雷が落ちた際にヘソを奪われたに違いない。ならば、そう遠くへは行っていないであろう」 「ち、近くにいるの!? カ、カミナリ様が……?」 そんな怖い情報、聞きたくなかった。2人のおヘソを取ったカミナリ様がまだ近くにいるとしたら、私達まで襲われてしまうかもしれない。空や木の上にカミナリ様がいないか、おなかを押さえながら周囲を見回すが、その影すらつかめそうに無い。 「いや、その気配は感じられぬな。遠くへ行っていないのはヘソの方だ」 「おヘソが?」 またしても会話がすれ違いそうになった。彼女によると、レイネ以外のカミナリ様は近くにはおらず、2人のおヘソはまだこの近くにあるらしい。
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