小さな社の秘密

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最後にもう一度手水舎の周りを歩いて、こぼれた生き物がいないかチェックした。これだけ念入りに調べれば、取り残された子はいないはず……。 こうして一通り(かえ)し終わると、不思議な事に気が付いた。 なんと、さっきまでシャワーの勢いだった雨と雷が弱まっていたのだ。もしかして、これが魚や貝をリリースした効果なの!? これなら、もう傘を差す必要は無いだろう。手ぶらでレイネのお手伝いが出来るはず、とおヘソの足取りを追う彼女のそばに駆けつけた。 「おお、ご苦労。(しか)と役目を果たしてくれたようだな」 彼女は本殿の階段下を通る水路の前でしゃがみ込んでいて、私の方を見て雨が止んだ事に気付くと、傘を水路脇に立てかけた。何の驚きも見せないあたり、やっぱり最初からこうなる事を分かっていたみたいだ。 「どう、見つかった?」 「うーむ、予想通り水路(ここ)を通ったようだが、もう本殿(こちら)に回収されてしまったようだ」 水路は手水舎から直線状に伸びていて、突き当りで90度右に曲がると本殿の階段下まで続く。そして、階段をくぐるようにして本殿の下へと続いているみたいだが、そこから先は壁に阻まれて目視出来ない構造になっていた。レイネ曰く、2人のおヘソは、水路を流れて本殿の下に吸い込まれてしまったようだ。 「うわぁ……。それってマズくない……?」 「案ずるな、水は大方(おおかた)本殿の中に()み上げられているはずだ」 至って冷静に努める彼女は本殿の階段を昇り、賽銭箱の奥に構える本殿の扉の前に立った。窓は無く、両開きの扉の中央は、ホームベース型のクラシックな南京錠でガッチリと閉ざされていた。
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