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「ぬかったわ……。これでは手も足も出ぬ……」
これでは到底中に入れそうに無い。レイネも撃ち方を止め、腰を曲げてへばってしまった。
「レイネ、大丈夫!?」
「大丈夫だ……。この程度で膝を屈してなるものか……!」
中腰で吐く彼女の息は荒く、汗の雫をいっぺんに三粒も玉砂利に落とし、湯気が立ち昇る身体は、かなり体力を消耗しているように見えた。
「こうなったら私が行く! ダメ元で体当たりして扉を壊せないかやってみる!」
❝彼女でも歯が立たないのに……❞とは思うが、私しか動ける人間がいないのならやるしかない。
「無駄だ、光の幕に弾き飛ばされるだけだ」
「でもっ……!」
たぶん、レイネの言葉に間違いは無いのだろう。でも、このままじっとしていたら、2人のおヘソは永遠に失われてしまう。そう思うと、今すぐ本殿に向かって走りたい衝動に駆られて足がそわそわ踊り出してしまう。
「待てっ!」
「うわっ!」
そんな浮足立っている私の両肩を、突然彼女がつかんだ。
救出作戦が上手く行かない中、勝手に動こうとした私にいら立ったのかもしれない。
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