小さな社の秘密

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そう広い敷地で無くても、木々に囲まれた社では鳥が止まれる場所が多すぎて、どこで怪しい鳥が羽を休めているかわからない。また、一口に鳥と言ってもスズメやツバメ、メジロにカラスと沢山の種類がいると思う。 それについて、彼女にはおおよその見当がついていたようで、 「ヘソが本殿より出でるのなら、その辺りを見張るべきであろう。また、荷を担ぐのだから、それなりの大きさのはずだ」 との言葉に従い、本殿の辺りでハト以上の大きさの鳥に絞って見張る事になった。 レイネの指示により、見張りは役割分担を行い、彼女が正面でじっと建物とにらめっこしている間、私は本殿の周りをぐるっと巡回して怪しい鳥を探す係を仰せつかった。 タラタラ歩いて鳥を逃がしたら責任重大なので、ダッシュで本殿の右側へと回り込み、そこからは抜き足差し足で慎重に進んだ。レイネからは「小鳥を散らす程度に堂々と進んで構わない」と言われていたが、不気味な社の裏手に何が潜んでいるかわからず怖かったので、自然と忍びのスタイルを取ってしまった。 そうやって曲がって行った裏手は、拍子抜けする程静かで生き物の気配が感じられず、本殿に寄りかかっても足音や雅楽の調べが聴こえる事は無かった。良かった、それなら私が危険な目に遭う可能性はグッと下がる。気を付ける事とすれば、粘土質の土と苔で足が滑らないようにするくらいだろうか。 そのまま進んだものの、怪しい鳥を見つけられないまま、とうとう反対の(かど)まで来てしまった。ここまで何の手がかりも無いとは、ツイてない。レイネの方で何か見つけてくれていればいいけれど……。
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