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ひとまずレイネの所に戻ろう。そう思って角を曲がろうとした時、ある物の存在が目に付いた。
角の近くにあった、小さな石造りの鳥居と犬小屋サイズの屋根付きの建物。ああ、ここにもあったんだな。
それは、今回の旅で何度も目にした、神社の中の小さい神社だった。
丘の上の神社で見た物達と特に大差無く、しいて言えば誰かが供えたであろう折り鶴が数羽軒下に吊るされているのがキレイなくらいだ。
「どうか見つかりますように……」
何もしないよりは……、と私は賽銭箱に小銭を落とし、両手を合わせて高校受験以来の本気の神頼みをした。
「よし、レイネの所に戻ろう!」
小さい神社に背を向けて、本殿の表側へと戻る。神頼みばかりしてはいられない、今度は別の場所を探さないと。
「ギャ――、ギャ――」
「え……?」
でも、その1歩目は影を地面に縫い付けられてしまったかのように踏み出せなくなってしまった。背後で何やら得体の知れない生き物の鳴き声がしたからだ。
ゆっくり振り向くと、全身を白い毛で覆われた1羽の鳥が立っていた。
かなり大きい鳥だ、立ち姿は私の腰の高さくらいまであるだろうか。正確な種類はわからないが、首もくちばしも脚も長く、鶴や鷺に似た美しい鳥だ。
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