小さな社の秘密

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「何でこんな所に大きな鳥が?」という私の疑問などお構いなしに、鳥は羽根をたたんだまま、飄々(ひょうひょう)としたステップで私の横を通り過ぎ、本殿の表側へと歩き出した。 「レイネ――! 鳥! 鳥が――!!」 この鳥が何らかの事情を知っていると見て、レイネに知らせつつ後を追いかけた。私が後ろをついて行っても慌てて飛び立つ事無く、鳥は次の角を左に曲がり、本殿の正面へと向かった。 鳥は私と2・3歩分の距離を取りながら本殿の中央まで来ると、一瞬だけ羽根を広げ、ジャンプして賽銭箱の(へり)に乗っかった。 「レイネ――! どうしたらいいの――?」 「そのまま泳がせておけ!」 少し離れた場所にいるレイネに呼びかけたけれど、彼女は本殿全体が視界に入る場所から1歩も動かず、今の所、鳥を捕まえる気も無いらしい。運び役はこの鳥では無いのかもしれないと思いつつ、少しでも不審な行動があれば取り押さえられるよう、私はすぐ近くで鳥を観察する事にした。 鳥は賽銭箱に止まった後は微動だにせず、本殿の方を向いてじっと羽根を休めていた。観察している方としては単調で飽きてしまいそうだが、おヘソの一大事とあってはそうも言っていられない。 ゴ――、ゴトッ……。 その間に、本殿の方で木材をこするような音がした。 鳥への注意を払いつつ、賽銭箱の先の本殿に視線を移すと、開かずの扉の前に何かが置かれていた。
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