小さな社の秘密

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置いてあったのは、お月見のお団子を積む時に使われるような白木の台で、その上にはお団子の代わりに、吊り下げひものついた小さな赤い巾着袋が載っていた。大きさはマグカップ1個がちょうど入りそうな小物入れといった所だ。 人の気配が感じられないこの神社で、一体誰がどうやって置いたのかも、あの袋の中に何が入っているのかも不明で、何とも怪しい。 すると、鳥の足が突然賽銭箱から離れ、数回羽ばたきながら白木の台の前に着地した。鳥はエサをついばむかのように、器用にくちばしを吊り下げひもの間に通すと、首を小刻みに振って袋を肩口まで落とし込んだ。 あの小さな袋には、もしや……。またしても、おなかの辺りが落ち着かなくなる感覚が襲ってきて、「この鳥がおヘソの運び役で間違いない」と告げているようだった。でも、袋の中身を確かめるチャンスは残されているのだろうか。 鳥は再び賽銭箱に飛び乗ると、風向きを確かめるように首をスイングさせた後、羽根を大きく開き、入口の方向へと羽ばたいていった。 「うわっ、待って……!」 ダメ元で追いかけるも鳥との距離は縮まらず、今は手の届きそうな低さで飛んでいるのも、いずれは届かない高さまで舞い上がってしまうのだろう。悔しいけれど、もう私にはどうする事も出来なかった。 「レイネ――――!! お願いっ……!!」 鳥はついに手の届かない高さまで飛翔し、彼女の頭の上を通過しようとしていた。この高さでは空を飛べる彼女と言えど捕まえられるか不安だが、後は信じるしかない。 彼女が大きく息を吸って吐くと、それに合わせて身体から青白いオーラが漏れる。そして、 「そのヘソ、待った!!」 早撃ちガンマンのように素早く左手を突き出すと、指先から鳥目がけて電撃がほとばしり、その火花散らす光は一瞬にして鳥の胴体を貫いた。
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