ランチタイム

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「あのさあ、もうどうすればいいかわかってるよね? はい、謝罪からの土下座ー!」 「くそっ……」 形勢が大逆転した千佳ちゃんが、意地悪そうな顔で彼に謝るよう促した。こういう時の彼女は、相手をコテンパンになるまで追い詰めるタイプだ。 「土・下・座! 土・下・座!」 それに呼応して、周りからも土下座コールが起こった。 田中君のホールドは既に解かれていたものの、ギャラリーに取り囲まれて逃げ場が無く、目を潤ませて今にも涙がこぼれそうな角度でうつむいていた。このままだと、膝から崩れ落ちて両手を床に付けるのも時間の問題だろう。 確かに彼のした事は悪い事なんだけれど、このイヤな流れを放っておいてはいけないような気がした。圧倒的土下座ムードに切り込んで行くのは正直怖いが、動くなら今しか無い。 「やめ……」 「そう責め立てる物でも無いだろう。そろそろ手打ちにしたらどうだ?」 ありったけの勇気を振り絞って声を出そうとしたら、またしてもレイネに先を越された。 「何で!? コイツ、サイテー野郎だよ!?」 千佳ちゃんの怒りは収まっておらず、彼を指さして追及の姿勢を崩そうとはしなかった。 「誰にでも間違いはある。過程はどうあれ、こうして皆に挨拶をする機会を得られた事だし、許してやろうではないか」 「えっ!?」
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