大切な物はいつも

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彼女は、私からエネルギーを補給する気だ。 無防備にさらした私のおヘソを見ながら、彼女が不敵な笑みを浮かべて近づいて来る。私の前まで来ると片膝をつき、右手のひらで隠すようにしておヘソに触れた。 手を触れてすぐにおなかがぼんやりと光り、彼女の方にエネルギーが流れていくのはいつも通りだったけれど、明らかにそのスピードが速く感じる。間もなく彼女の周りを静電気が飛び交い、全身にオーラをまとい始めた。その分私の身体がだるくなるのも速かったが、何となく邪魔してはいけない気がしたので今だけは動かずに直立不動をキープした。 そして、左手を空高くつき上げると、 ビカッ、ビカビカビカッ!!―――――― 次の瞬間、空から辺り一面に光の雨が降り注いだ。 何十本もの細く小さな稲妻が、私達の周りに次々と落ちる。玉砂利を弾けさせながら消えてはまたすぐに光る稲妻。これは、以前彼女が宝石店強盗を捕まえた時と同じ光で、黒い鳥を撃墜する為に放った物に違いない。 急襲に驚いた鳥は身体を斜めに傾けながら、ギリギリの位置で稲妻をかわす。だが、どれだけ旋回を重ねようとも稲妻が止む気配は無く、逆に密度を増して鳥の居場所を奪ってゆく。 これだけすごい威力の雷なのに、光の中心にいる私達が感電したり弾けた玉砂利が当たる事は無く、だるさを除けば360°をイルミネーションに包まれているみたいに幻想的な光景を楽しむ事が出来た。 カサッ―――― 途中で私の肩に何かが当たって地面に落ちた。葉っぱかと思って見下ろしたそれは、白い折り鶴だった。
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