大切な物はいつも

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そんなとぼけたやりとりが終わると、彼女は足元に落ちていた白い折り鶴を拾い上げた。 「ふむ、丁寧に折られている」 しげしげと眺めながら、造りの精巧さに感心する彼女。きっと几帳面な人が折った鶴なんだろうな。 この折り鶴、前にどこかで見た気がする。本殿の裏にあった小さな社に吊るしてあった物だろうか。そうだとしたら何故ここに落ちているのだろう、ここまで風に乗って飛んで来たとは考えにくいし。 そして、この折り鶴に使われている美しい質感の紙は、もっと前にどこかで見た気がする。あれは、私の部屋でだ。 思い出した、以前レイネが駅前で調達したキレイな色紙の事を! それは、一見するとただの色紙だが、その紙で生き物の形を折ってカミナリ様が力を込めると、まるで命を吹き込まれたようにひとりでに動き出す不思議な道具だと、彼女が言っていた事があった。 「これってもしかして……、さっきの白い鳥?」 「ああ、その通りだ」 「うそ! 信じられないっ……!」 折り紙が実際に動いている所を見たのは今日が初めてだったし、私のイメージを越えて、本物の鳥の姿に変化していたのには驚いた。もっとも、彼女の落ち着きぶりからすると、最初から正体がわかっていたみたいだけれど。 それにしても、この折り鶴の丈夫な事。電撃で貫かれたり水気を含んだ地面に落っこちたりと散々な目に遭ったというのに、破れもふやけもせずに美しい姿勢を保っている。カミナリ様御用達の道具の不思議なスペックへの驚きとともに、おヘソを取り戻す為とは言え本物の鳥を撃ったのでは無い事がわかり、何とも言えない安堵感が胸の中を吹き渡った。
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