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出来ればおヘソ以外の何かであって欲しい。彼女が難しい顔をして10秒程眺めて出した答えは――、
「……ヘソでは無いな」
「そうなんだ……」
おヘソじゃ無くて良かった、次こそは頑張って本物を見つけよう。
「しかし何であろうな、これは。ヘソに似た何か……、例えば、死んで丸まった芋虫……」
「ギャーーーー!!」
落ち着きを取り戻しかけた矢先での恐ろしい鑑定内容に、思わず悲鳴を上げてしまった。やっぱりおヘソだった方が良かったかもしれない。知らずに素手で触ってしまい、手がかぶれないだろうか。
「いや、よくよく見ると、どうやら食べかけの餅のようだ」
「何て人騒がせな……」
イモ虫じゃ無くて良かったけれど、誰かの食べかけを素手で触るのも、それはそれで抵抗がある。早く手水舎で洗いたかった。
「私は1つ見つけたぞ」
「ホント!?」
そう言って彼女がポケットから取り出したのは、透明なスーパーボールに似た小さな丸い玉だ。彼女がスライダーのような指先で握った玉の中には、おヘソらしきかたまりが入っていた。さっきのお餅そっくりだけど、カミナリ様が見間違えるはず無いから、本物なのだろう。
「ていうか、こんな風になってたの?」
「ああ。天界に運ばれるヘソは、保存の為にこうして周囲を包まれている事が多いのだ」
「それ先に言ってよ……」
またこれだ。ちゃんと教えてくれていれば、地面に落ちたお餅を素手で拾う事も無かったのにな。
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