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「うぅ、冷えるぅ……」
清水で洗われた玉の冷たさに、鈴木さんがまぶたを閉じたまま目覚めの声をあげる中、続けてレイネは田中君のおなかにも玉を押し込む。
「ぐあっ! 冷てぇ!!」
こちらは痛いくらい冷えていたようで、おへそが埋まると同時に叫びながら飛び起きた。
「気が付いたか」
「あれ、天宮さん達、何でここにいるの……?」
「うわっ! 海の化物!! じゃなくて天宮!?」
そして、レイネの呼びかけに鈴木さんは眠そうな目ををこすりながら、田中君は寝ぼけた子供のようなリアクションで応じた。
「君が電話をくれたであろう? 何かあったのではないかと思って駆け付けたのだ」
「やっぱアレ、本気で言ってくれちゃってんだ……、ありがと」
彼女はレイネが海の家の前で言っていた「何かあったら電話をくれても構わない」という言葉に賭けて、SOSの電話をかけたのだと思う。残念ながら、電話は途切れてしまったが、律儀なレイネがこうして駆けつけてきたのだから、結果オーライだ。ハグして表現せずとも、鈴木さんの憂いを帯びた笑顔が嬉しさを物語っていた。
「あの……、2人ともどうしてここにいたの?」
ここにくるまでの2人の足取りが、本当にレイネの言う通りだったのか鈴木さんにたずねてみると、
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