大切な物はいつも

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――「詩乃ちゃん、また会おうね。待ってるよ」―― 「ハハハ、男神殿もそなたにご執心のようだ」 「あはは、ホントかな……」 からかわれているだけだと思うけれど、悪い気はしないな。 ありがとう、親切な道祖神様。そっと手を振ってから、通りに面したバス停に向かう為、彼らに背を向けた。 ――「もちぃーーづきぃーー――!!!!♪」―― 「ぎぇ――!!」 「いきなり何だよ、早川……」 油断大敵! 男神様の不意打ちを食らってしまった。田中君達には聴こえていないから、びっくりして奇声をあげた私は変な子扱いだ。もう絶対に許さない、次は激辛の飴をお供えしてやるんだから! こうしてちょっかいを出されながらも、私達はバス停に到着し、屋根の下でバスを待った。時刻表を見ると、あと1分で来る予定で、既にその姿は視界に入ってきていた。これに乗れれば、もう安心だ。 「バスか……」 しかし、バスの到着を目の前にして、レイネの表情が曇った。それもそのはず、今の彼女は酔い止めの梅干しを貼り付けていなかったからだ。 「はは……。5分だけだから、頑張って耐えようね」 「うむ、空を飛ぶ訳にも往かぬしな……」 乗る前からぐったりした彼女の背中を押しながら、私達は後方のドアからバスに乗り込んだ。 この後、無事に集合時間前に海の家へたどり着いた私達には、まだまだ衝撃的な出来事がいくつか待ち受けていたのだけれど、これはまた後でお話をしようね。
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