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「あ、お帰り」
「うむ、良い挨拶が出来た。では、ここで集まったのも何かの縁、記念撮影を行ってはどうだろう?」
「あ、それいいね!」
「だから何で……?」
挨拶が終わったならそのまま解散すればいいものを、彼女が余計な提案を持ち掛けた。周りのみんなもなぜか大乗り気で、もう撮らないと終わらない雰囲気になってしまった。
これ以上面倒な事が起きて欲しくないので、手っ取り早く終わらそうと、私がカメラマンになって写真を撮る事にした。
「俺が撮るよ……。早川は入りな」
「いいの? ありがとう!」
なんと、田中君がカメラマン役を買って出てくれた。乱闘騒ぎの罪滅ぼしなのか、写真に収まるのは居心地が悪いからなのかはわからなかったけれど、お言葉に甘えてスマホを彼に渡した。
「チャラーノも後で加工して入れてあげるよ、顔の所だけ丸く切り取って右上の方にくっつけとくからさ」
「もう、やめなって……!」
千佳ちゃんの怒りはまだくすぶっていたようで、攻撃的なジョークを吐いてみんなを笑わせていた。田中君は「うるせーよ」と元気の無い返事をするだけで、自業自得とは言え気の毒だった。
「はい、チーズ! ……早川、これでいいか?」
「うん、OKだと思う」
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