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写真の出来栄えを確認した私は、手分けして画像を全員に送り、「くれぐれも悪用しないで下さい」と念を押すと、
「そ、それでは皆さん、もうすぐ5限目なので教室に戻りましょう! 解散!」
先生みたいな号令を出して、その場をお開きにした。
みんなが少しずつ自分のクラスに戻っていく姿を見て、私は安堵のため息をついた。
「まったく、お前は手間かけさせんじゃねえよ!」
「いたーい! 暴力反対!!」
教室に戻る途中、瀧本君が千佳ちゃんの頭の両側をこぶしで挟んでぐりぐりと動かして攻撃した。とても痛そうだけれど、私の分までお仕置きしてもらおう。
やっと自分の席まで来ると、解放感から机になだれ込んだ。
「ああもう、疲れた……」
「やっと騒々しいのが終わったのね。ほんと、馬鹿野郎歌舞伎だわ」
廊下の騒ぎにうんざりしていた浮月さんが、ボソッと独特の感想をつぶやきながら本のページをめくっていた。読書の邪魔をされて、怒っているのかもしれない。何となく距離が縮まった気がしていたのに、また逆戻りになってしまうかもなあ。
「うむ、実に旨い」
隣では、レイネが喉の渇きを潤す為に甘酒をすすっていた。人の気も知らないで、至ってマイペースだ。
まだ放課後にもなっていないのにこれでは、先が思いやられる。無事に1日を終える事が出来るだろうか。
そんなこんなで、ランチタイムは予想外のトラブルに見舞われながら終了し、私達は午後の授業を気だるく迎えたのだった。
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