ベッドの上で昔ばなしを

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「社の管理は次第に人の手に委ねられていったが、神のいない社ほど空虚な物は無い。なまじ姿が見えていたからこそ、見えなくなってしまっては、手の合わせ甲斐も無かったであろう。信心の薄れた社は顧みられなくなり、その多くが手入れもされずに朽ちて廃れていったと聞く」 「そうだったんだ……」 カミナリ様がいなくなった社は、守る人もいなくなって荒れ果ててしまったのか……、なんだかちょっぴり切ない気もする。それでも、立ち止まる事無く彼女は話を続けた。 「しかし、あの社には驚いた。程良く手入れされ神社としての形を保っていたばかりか、仕掛けまで作動するとは。天界においても稀有な伝説として聞くばかりだったものを、この目ではっきりと拝む貴重な機会を得た」 「あのね……」 古代の遺跡を発見した考古学者みたいな感想をしみじみと言わないで欲しい。おかげでこっちは大迷惑だったんだから。 ……あれ? 今の説明、なんかしっくりこないな。さっきまで言ってた事と食い違ってるというか……。 ここで私は、いよいよ真相に向かってアタックを開始した。 「でも、やっぱりおかしくない? なんで自動おヘソ取り装置が作動したの? カミナリ様の力が無いと動かせないんじゃなかったの?」 社の建物がいい状態で残っていたのは、親切な人がお手入れしてくれたとかでまだわかるとしても、カミナリ様がいないのに装置が作動したのは、これまで彼女が言ってきた事と完全に矛盾する。 「そうだ。力の出所は不明だが仕掛けは動いていた、実に滑らかにな。普通、いくら保存状態が良くても長い間使われていなければ、どこかさび付いている物。そなたの言う通り、一連の出来事はのだ」
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