ベッドの上で昔ばなしを

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私の言葉に彼女も同調した。 「事実、仕掛けの動きには、私が知っている物との相違点が多すぎる。例えば、彼らに代わってそなたが魚や貝を水路に流した時だ。本来ならそれを誰が行おうと、全て水路に還った時点で反省したと見做し、仕掛けは止まるように出来ていた筈。ところが、そなたが放流を終えた後もヘソは流れ続けた、まるで天界へ運ぶのを急いでいるかの様に」 私が彼女に指示されて魚達を水路に流したのは、やはり仕掛けを止める為だった。 その時の事を思い出すと……、バケツに入っていた魚の量が減るのに比例して雨が弱まっていった。きっと、この雨も仕掛けの一部だったのだろう。 でも、バケツが空になっても雨が完全に止む事は無く、おヘソは水路を❝どんぶらこ❞と流れていってしまった。 「装置が故障しちゃってたのかな……?」 「故障にしては、出来過ぎていた。故障ならどこかでつっかえる方が自然なのに、逆にヘソの行く手を遮る物が何も無かった。あのまま動き続けていたら、2人は危うくヘソ代わりに貝の剥き身を腹に着けて帰る所だったのだぞ。無慈悲極まりない」 「あわわ……」 またもやおっかないジョークが飛び出したけれど、確かに故障で片付けるのは不自然だ。元々、部分的にカミナリ様の手作業が必要な装置だとしたら、故障したら余計に手入れをしないと動かせないと思う。 おかしな点はそれだけじゃない。だってそうだ。 「あとさ、何でレイネは本殿に入れなかったの? カミナリ様なのに……」 本殿の異様なガードの硬さは何だったのだろうか。彼女が扉に電撃を与え続けてもビクともせず、不思議な力に跳ね返されてしまった。人間はともかく、カミナリ様は入れてもいいと思うんだけれどな。
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