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「わ! 起きます! 起きるから大丈夫デース!!」
筋肉痛より痛そうな電流を食らってはたまらない! と急いでベッドから飛び起きた。ベッドの天井に軽く頭をぶつけた事以外は、消防士さんより素早く出動体勢が取れたと思う。これも火事場の馬鹿力に含まれるだろうか。
「ははは、筋肉痛もなんのそのとは、流石そなたは鍛え方が違うな」
「あなたが無理矢理起こしたんでしょうが……」
「それでこそ見廻組副長というもの」
「誰が副長だよ」
勝手に変な組織を結成してナンバー2に任命しないで欲しい。どうせメンバーは2人しかいないのに。
「自転車か電車かは、そなたにまかせる」
「自転車でいいよ」
「わかった」
今日は昨日よりちょっと涼しいし、ゆっくり漕げばそんなにツラくないかな。
そうと決まれば、善は急げだ。着替えてお財布とバッグを用意して、お母さんには「レイネと出掛けてきます」ってメールを打って、あと机に転がっている家の鍵を取って……、よし完璧!
部屋のドアを開け、玄関から初めの1歩を踏み出すまでは30秒もかからない。
いつもだったらそうなのに、この日は違った。
「いぁっ! 1段1段が痛い!」
「ふぅ……、飛んで下に降りたい所ではあるが、ここはっ、力を温存っ、しておくとしよう……」
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