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残念ながら筋肉痛がひどくて断られてしまった。それもそうか、私達だけじゃなくて当然だよね。ただ、彼女の返信はというと、
「昨日走りまくったせいで、全身が痛くて動けないよー!😭
もし私が死んだら、詩乃ちゃんとチャラーノの所に化けて出てやるからね!👻」
怨念のこもったメッセージを、ぐったりしたネコのスタンプとともに送ってきた。私のせいじゃないと思うんだけれどなぁ……。
「そうか。軟弱者め、鍛えが足りぬな」
「あなたのせいでもあるでしょ……」
後で森田さんや浮月さんにも、大丈夫だったか聞いてみよう。
そんな私の気持ちをよそに、レイネはマイペースにジェラートの山をスプーンでかいては口に運び、至福のひと時を楽しんでいる。
「斯様に美味い氷菓があるとは、この街はまだまだ奥が深い。更に視察の頻度を増し、当地の……」
「そんな真面目な言い方しちゃって、ただ単にジェラートを食べたかっただけじゃないの?」
ツノが出ていない今の彼女の姿は、誰がどう見ても❝スイーツに舌鼓を打つ女子高生❞で、まるっきり説得力が無い。ここまで一緒に来ておいてとやかく言うのもイジワルかもしれないけれど、ちょっとくらいツッコミを入れてもいいよね。
「失礼な、これも大事な見回りの一環だ。空の上に❝雷は臍のみにて生きるに非ず❞という教えがあってだな、ヘソ以外の万の事に通じてこそ衆生の……」
「いいよ、わかったよもう……」
それが図星だったのかいわれのない文句だったのかは、何だかとても難しい言葉で言い返されてうやむやになってしまった。
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