今日もどこかで稲光

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「しかし、此度の浜歩き大会の首尾は上々であった。多くの経験を積む事が出来たし、振舞いもだいぶ周りの者と遜色(そんしょく)無かったであろう?」 「何が! まだダメダメだよ。勝手に雷落としたり飛んだりしたりするし。カチカチな言葉遣いも直ってなかったし、100点満点で言ったら56点」 レイネったら、大甘採点しちゃうんだから。たまたま無事に帰って来れたから良かったものの、途中何回私がヒヤヒヤさせられたと思ってるんだか。ここは心を鬼にして、辛口ジャッジをしておかないとね。 「ははは、これは手厳しい!」 「うーん、その言い方が既にダメなんだけど……」 こんなに爽やかな苦笑いをする人、初めて見たよ。私のダメ出しなんてお構いなしなんだな。先はとても長くなりそうだ。 何はともあれ、ジェラートをすくい終える頃には、旅の記憶の中で凍っていた心配や謎もすっかり解けて流れ出て行った、はずだったのになあ……。 そうならなかったのは、休み明けの月曜日に不思議な事実が次々と明るみに出たからだ。 朝、登校すると廊下に人だかりが出来ているのを見つけた。その中には森田さんの後ろ姿もあった。 「あっ、早川さん達!」 「おはよう、森田さん。一体どうしたの?」 「写真コンテストのお知らせが出てるの」 大勢の生徒の視線は壁に貼り出された『浜歩き大会写真コンテスト』の募集要項に注がれていた。これは、文字通り浜歩き大会で撮影した写真を募集して優秀作品を表彰するイベントだ。
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