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「microSDごと壊れたのかな?」
「うーん、それはよくわかんないけど……、一言で言ったら❝ざまあw❞? さ、教室行こ行こ!」
「千佳ちゃん、もう許してあげなよ……」
田中君には気の毒だけれど、これでレディの秘密は守られたし、彼が優秀賞のドローンを手に入れるチャンスも消えた。
不思議な事は続く。
教室に入ると、チャイムが鳴る前の室内は自由なおしゃべりで盛り上がっていて、ここは休み前とあまり変わらなかった。
一つ変わっていた事と言えば、私の席の近くにジャージ姿の生徒が5名ほど立っていて、後ろの席の浮月さんを取り囲んでいた。
「君、絶対素質あるから入ろうよ!」
「今入ってる部に専念したいので、入部出来ません」
「そんな冷たい事言わずにさ、掛け持ちでもいいから入ってよ」
「私、走るの苦手なので」
「またまた御冗談を!」
ジャージの背中には『Shizunami high school Track & Field』と刺繍がしてあった。この人達は陸上部の上級生か、朝も早よから部員勧誘とは熱心な事だ。当の浮月さんが顔色一つ変えず静かにお断りしているのを、「はい」と言うまでループする二択地獄に誘う気だ。
「あら、早川さん、ごきげんよう」
「あっ、ごきげんよう……」
そんなやりとりに飽きたのか、浮月さんは陸上部員の間から私にノーブルでエレガントなあいさつを送ってきた。
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