今日もどこかで稲光

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極めつけはお昼休み、森田さんがコンテストに出す写真を見せてくれた時だった。 「わあ、みんな良く撮れてるね!」 「何百枚も撮ったから、その中で結構いい感じのがあったんだよー」 コンテストはプリントしなくてもデータで応募が出来る。彼女は私達が見やすいようにとタブレットにデータを移して大きな画面で見せてくれた。 波打ち際を飛び立つハトの群れ、茉莉子ちゃんグループとの集合写真に海の家のメニュー。つい先週の事なのに、何もかもが懐かしく感じる。 しかし、思い出にどっぷりひたろうとしていた私と違って、彼女の表情はどこか浮かなかった。 「でも、ちょっとおかしいんだよね……」 「何が?」 彼女が画面をスライドして見せてくれたのは、丘の上の大きな神社で撮った写真だった。 「これ見て、全然光って無いんだよ」 「あれ? 灯籠の明かりが消えてる!?」 彼女が神社の石段にあった灯籠を写した写真では、灯っていたはずのあかりが写っていなかった。 実は光っていなかった!? いいや、そんな事は無い。木々に囲まれた暗い石段で、私達が上るごとに明るく灯って出迎えてくれた優しい光を、すっかり忘れる方が難しい。 「それだけじゃないよ、こっちはもっとおかしいんだ」 次に見せてくれたのは広い境内の写真で、そこには威厳のある(たたず)まいの社殿と、若葉茂るイチョウの木々が収められていた。
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