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「レイネ! トレンドが神社入りしてっ……!?」
「何を慌てる事があるか……。落ち着いて話すのだ」
自分でもよく分からないが、単語があべこべになってしまうくらい、ひどく慌てていた。息を整え、再び問いかけた。
「丘の上の神社にイチョウの木があったでしょ? 2色交互に並んでてすごくキレイだったよね!? あのキレイな景色は夢じゃないよね!? あったよね!?」
言い直した所で、落ち着きの無い事に変わりは無かった。とにかく、彼女が何か知っているのなら教えて欲しかった。
「みんなして何を騒いでいるかと思えば、そんな事か。揃いも揃って寝惚けた事を……」
髪をかき上げながら、うんざりした顔で私の話を聞く彼女。❝そんな事❞とは随分塩対応だ。私の話なんか半分も聞いていないのか、ブレザーの内ポケットからスマホを取り出し、画面に指を滑らせていた。そして、印籠のように私の目の前に突き出したスマホの画面には、
「あったに決まっているであろう」
「えっ!?」
1枚の写真が映っていた。それは、境内の小さな神社・美臍神社の前で神主さんに撮ってもらった写真で、私とレイネと社の後ろには、緑と黄色の葉が半分ずつ画面を彩っていた。
「 どう言う事なんだろ、これ……」
「もうすぐ昼休みが終わる、席に戻ろう」
「いや、あの……」
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