今日もどこかで稲光

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――キーン、コーン、カーン、コーン!―― 彼女は私に質問タイムを与えず、不敵な笑みを見せながら、休み時間終了を告げるチャイムとともに自分の席へと戻っていった。 あの写真は、私のスマホで撮ってもらってからレイネのに転送したものだから、当然私のにも同じデータが入っている。あの日、2つの葉が境内に存在していたのは間違いなく事実だ。ホッとしたのもつかの間、森田さん達に写真を見せるのが何だかとても怖くなり、スマホは開かずにそっとしまっておいた。 本当は、あの景色が夢じゃないというだけで良かったのかもしれない。でも、どうしてもこれまでの事が気になってしまい、学校から帰った夕方、レイネを質問攻めした。 「あの、レイネ……」 「うむ、効果が如実に現れている」 おずおずとたずねる私に構わず、制服を脱いで姿見に自分のおヘソを映し、チェックする彼女。彼女は「美臍神社にお参りしたご利益だ」と言っているけれど、元々キレイだったから素人目(?)には違いがわからなかった。 「レイネ、何か知ってるんでしょう? 隠さないで教えてよ」 「なんの事だ? マズルよ、ゼリーを取り替えて進ぜよう」 「ホワイトマズル君のお世話は私がするからほっといて!」 着替え終えても私の質問には答えようとせず、カブトムシのお世話にかこつけてはぐらかす気だ。あと、私を出し抜いて勝手に彼と仲良くなるのもダメだし。 「何でみんなの写真だと、灯籠やイチョウが光って無かったの!?」 「詩乃よ、写真に映るものだけが真実では無い」 そんな悟ったような答えは求めていないのに……。これではラチが明かない。
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