カミナリ様の放課後は

4/13

67人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
運動部でもマニアックなチョイスに変わりは無かった。もし、彼女がなぎなた部に入ったら私の部屋になぎなたが置かれる事になるかもしれない。あんな長い物は置き場所に困るし、置いたら置いたで武家屋敷みたいになってしまうから、部が無くて良かった。 「実は授業の合間や昼休みに方々(ほうぼう)から誘われておってな。それぞれの部に顔を出してみようと思うのだが、まだ校舎の右も左もわからぬ状態でな。これは難儀しそうだ」 今日は教室を移動する授業も無かったし、昼休みも乱闘騒ぎに巻き込まれている内に終わってしまったから、彼女に詳しく場所を教える機会が無かった。 古くからの伝統を誇る我が校は、百数十年の間に校舎の増改築が何度も施されており、本校舎だけでもかなり入り組んだ構造になっている。また、図書室や講堂等、本校舎から独立した建物もあるので、入学したばかりの頃は場所を覚えるのに苦労した記憶がある。彼女が眉間にシワを寄せて腕組みしてしまうのも無理は無い。 「私と一緒に周ろうか」 「良いのか? そなたは演劇部の温習(おんしゅう)があるのではないか?」 「あるけど、ウチも活動紹介をするから本格的な練習はしないんじゃないかな? 梶本先輩は怖いけど、1日くらいなら大丈夫だよ」 我が演劇部には梶本先輩という、2年生の女子生徒がいる。主にダンスの振り付けと指導を担当していて、一切の妥協を許さないスパルタぶりでみんなから恐れられている。私はダンスが苦手なので特に目を付けられてしまい、先月の練習中は「やる気が無いなら帰りな!」とか「デカいから下手だと余計目立つんだよ!」なんてこっぴどいダメ出しをくらっていた。 ただ、レイネに1人で校内を歩かせるのも心配だ。それも、彼女がちゃんと目的地にたどり着けるかどうかよりも、連休初日の街中(まちなか)の時みたいに、事件のある所に自分から突っ込んで行って正体がバレそうにならないかという方が大きい。
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加