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「タッキー、ごめんね」
私にとっては先生の言う通りになった方が都合がいいのだけれど、とばっちりを受けてしまった瀧本君には悪いので、一応謝っておく。
「別にお前のせいじゃねえよ、ちゃんと面倒見てやれよ」
「ありがとう」
瀧本君は机の中の荷物をまとめると、教室の右側最後方に新しく置かれた机へと、長身を丸めてダルそうに移動して行った。
そして、空いた私の左側に、レイネがやってきた。
「それじゃあ、朝のホームルームはこれで終わりだ。もうすぐ休み明け一発目の授業だが、しっかり準備しとけよ!」
「えー!?」
「うわぁ、やる気ねぇ……」
赤沢先生が出て行くと、ちょっとしたイベントで興奮気味だった教室は、一気に連休明け特有のスロースターターな気怠い空気に包まれた。
そんな中、一人だけ違う気分のレイネが、座ったまま私の方に身体を寄せて話し掛けてきた。
「挨拶はあれで良かっただろうか?」
「あんな感じでいいんじゃない?」
「そうか。これから宜しく頼む」
「はいはい」
その後、1限目の授業が始まるまでのほんの短い時間で、彼女は全方向の隣席の子に軽くあいさつをしていた。
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